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資料公開|DXの成功を担う次世代人材とは?即戦力を生み出すビジネスアーキテクト育成法をご紹介します

公開 : 2025.11.12

2025年11月12日にオンラインセミナー『DXの成功を担う次世代人材とは?即戦力を生み出すビジネスアーキテクト育成法をご紹介します』を開催いたしました。 この記事では当日用いた資料を公開し、そのポイントを解説しています。

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はじめに

企業の競争優位性を確立する上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)は不可欠です。

しかし多くの企業から、「DXを進めているものの成果が出ない」「推進を担う人材が不足している」といった課題が挙げられています。

今回は、こうした課題を解決する鍵となる 即戦力DX人材の育成方法 について解説します。

まず、「なぜDX推進が滞るのか」という現状の課題を整理します。その上で、DXを牽引するために必要なスキルを備えた即戦力ビジネスアーキテクトの重要性を明らかにし、最後に体系的な育成方法についてご紹介します。

なぜDX推進が滞るのか

DXとは

まず、DXとは何を指すのでしょうか。

経済産業省が策定した「デジタルガバナンス・コード 3.0」では以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

この定義から、DXは単なるツール導入や紙の電子化ではなく、ビジネスモデルや企業文化を変革し、競争力を高める取り組みであることがわかります。その重要性は広く認識され、多くの企業がすでにDXに着手しています。

日本企業のDX推進状況

DX動向2025」によれば、日本において多くの企業でDXへの取り組みは進んでいるものの、実際に成果を創出できている企業は2024年度で6割に満たない状況です。米国と比較すると、日本企業は成果創出の面で大きな課題を抱えています。

DX動向2025より抜粋

DXが進まない理由

DXが進まない理由として以下が挙げられます。

  1. DX人材の量と質における課題
  2. DX推進に必要なスキルを把握できていない
  3. DXを推進する人材像を設定していない
  4. DX人材の育成に取り組めていない

1. DX人材の量と質における課題

統計から日本ではDX人材の量が相対的に不足していることがわかります。

2024年度を見ると、「やや不足している」「大幅に不足している」と回答した企業の割合が高く、多くの企業が人材不足を実感しています。一方、他国では「過不足はない」という回答が多く、日本は DX推進に必要な人材を十分に確保できていない 状況にあると言えます。

DX動向2025より抜粋

量だけでなく、質の面での課題も指摘されています。

人材は確保しているが、「質が不足している」と回答した企業も多く、これは DX人材が十分なパフォーマンスを発揮できていない ことを示しています。

他国では、ドイツで「やや不足している」が一定数見られるものの、米国では「過不足はない」が最も多く、質の面でも安定している状況です。

DX動向2025より抜粋

2. DX推進に必要なスキルを把握できていない

別の観点として、人材育成の取り組みを見ると、日本は他国と比較して 社内人材の育成や既存人材の活用に力を入れている ことがわかります。

DX動向2025より抜粋

しかしながら、社内育成を進めているにもかかわらず、57.1%の企業がDX推進に必要なスキルを把握できていないと回答しています。

これは、 人材育成に注力しているものの、育成すべきスキルが明確になっていない という矛盾した状況を示しています。

DX動向2025より抜粋

3. DXを推進する人材像を設定していない

さらに、DX推進に必要なスキルだけでなく、DXを推進する人材像自体を設定していない企業が43.5%に上ります。

目指すべき人材像が定まっていないため、育成施策が具体化できていない ケースも少なくありません。

DX動向2025より抜粋

4. DX人材の育成に取り組めていない

日本企業は社内人材の育成を掲げているものの、 体系的な育成施策には十分に取り組めていない のが現状です。

「体系的な育成メニューを用意している」と回答した企業の割合は、他国と比べて低い水準にとどまっています。

DX動向2025より抜粋

DX推進において生じやすい誤解

こうした背景から、DX推進において次のような誤解が生じやすくなっています。

  • デジタル化をDXと同義に捉え、紙の電子化やツール導入が目的化し、ビジネスモデルそのものの変革に至っていない
  • システム開発ができるエンジニアを採用すればDXが進むと考えている
    • 実際には、DXには戦略策定、組織変革の視点、対外交渉力を備えた人材が不可欠
  • DX人材は外部採用で十分と考え、社内にノウハウが蓄積されず、DXが継続的に進まない
    • 社内ビジネス文化や既存業務の理解が不可欠であり、継続的な人材確保が難しいという課題から、社内育成も重要

では、これらの課題を解決するために求められる人物像とは、どのようなものなのでしょうか。

DX推進者の人物像や育成の考え方

DX推進者の役割

DXを推進するためには、経営ビジョンからITシステム、組織文化に至るまでを横断的に捉え、全体を統括できる人物が不可欠です。DX推進者は、以下の図のように、 DXの全フェーズに関与する役割 を担います。

デジタルガバナンス・コード3.0より抜粋

DX成功の鍵:ビジネスアーキテクトとは

IPAが定義する「デジタルスキル標準 ver.1.2」では、DXの中核を担う役割を「 ビジネスアーキテクト 」と位置付けています。

デジタルスキル標準 ver.1.2より抜粋

ビジネスアーキテクトとは、DXの取り組みにおいて、 目的設定から導入後の効果検証までを、関係者と連携しながら一気通貫で推進する人材 です。

ビジネスとITの双方を理解した上で、最適な全体像と解決策を設計することが求められます。一方で、ビジネスアーキテクトは企業にとって最も不足しているDX人材であることが統計で示されています。

DX動向2025より抜粋

なぜビジネスアーキテクトは不足するのか

ビジネスアーキテクトが不足する最大の理由は、その役割の難易度の高さにあります。

DXでは、 全体最適の視点で、複雑な変革プロジェクトを設計し、着実にDXプロジェクトを推進すること が求められます。このような高度な推進力が必要とされるため、担い手が限られやすいという課題があります。

一方で、 ビジネスアーキテクトの存在こそがDX推進の成否を左右する鍵 であることも事実です。

即戦力ビジネスアーキテクトがもつべき実践的スキルとは

DX推進者に求められる多角的スキル

ビジネスアーキテクトが持つべき実践的スキル とはどのようなものなのでしょうか。

DX推進は単一のスキルで実現できるものではありません。

ビジネスアーキテクトには、以下のような、 ビジネス、IT、顧客体験といった複数の専門領域を横断する多角的な実践的スキル が求められます。

こうしたスキルは、日常業務だけで短期間に身に付くものではありません。体系的な学習と、一定量の実践的な経験の積み重ねが不可欠です。

ビジネス構想力・
変革力
新規事業の創造から既存事業の変革まで、ビジネスをモデリング
顧客理解力・
UXデザイン力
多様な顧客ニーズに対応し、優れた体験を設計
テクノロジー適用力最先端技術の特徴を理解し、ビジネスに最適な技術を選択
プロジェクト
マネジメント力
不確実性の高いDXプロジェクトを推進し、全体を牽引
コミュニケーション力障壁が発生した際に、外部メンバーとも交渉し、厳しい局面に立ち向かえる

(参考)DX推進を阻むスキルの偏在と総合力不足

DX人材に関するスキルの獲得状況(国別)を見ると、日本では「ソフトウェア開発に関わるスキル」や「セキュリティマネジメントに関わる技術」が突出する傾向が見られます。これは、エンジニア(例えば開発エンジニア)を採用すればDXが進むという前提で、人材採用や育成が行われてきた結果と考えられます。

しかし、開発エンジニアはソフトウェア領域の専門性が高い一方で、ビジネスに関する理解やスキルが不足しがちです。反対に、業務部門を中心としたビジネス人材を採用しても、デジタル技術やITに関する知識が不足するケースが多く見られます。

このように、個別の専門性を持つ人材は存在するものの、DX推進者として必要な総合的な知識とスキルを兼ね備えた人材が不足していることが、DXが進まない根本的な課題にもつながっています。

DX動向2025より抜粋

即戦力DX人材を育成するためには

ビジネスアーキテクトを社内で育成するには、次の 4つの柱を総合的に推進する ことが重要です。

  1. 組織文化の醸成と環境整備
  2. 体系的な育成プログラムの設計
  3. 実践的な経験機会の創出
  4. 適切な評価とフィードバック

特に重要なのが、「 体系的な育成プログラムの設計 」と「 実践を重視したケーススタディ 」です。これらが、DX人材育成の成否を左右する要素となります。

その理由は、前述の通り、 体系的な育成メニューを十分に整備できていない 点が、DX人材育成における課題の一つとなっているためです。DX人材育成を掲げている企業であっても、実際には十分な支援が行われていないケースも多く見受けられます。

そのため、育成を形骸化させないためにも、 体系的かつ実践に結びつく育成メニューを用意すること が重要です。

即戦力ビジネスアーキテクトを生み出す体系的な育成方法

新規サービスのDXを形にする5つのステップ

ここからはNCDCが提供している「ビジネスアーキテクト育成プログラム」を題材に、内容を詳しく解説します。

育成の鍵は、 体系的なプログラム設計と、実践重視のケーススタディを通じて実践力を身に付ける 点にあります。

本プログラムでは、 DXの全体像、テクノロジー、ビジネス創造 といった知識を短期間でインプットするだけでなく、 グループワーク、ショートケース、演習 を通じてアウトプットを行う構成としています。

次の表は、 新規サービス系のDXのアイデアを事業計画へ落とし込む5つのステップ をまとめたものです。具体的なケーススタディに取り組みながら、一連の流れを体験し実践的に学びます。

これら5つのステップを通じて、受講者はビジネス構想、UX、テクノロジー、プロジェクトマネジメントまでを横断的に理解し、 新規サービスDXの全体像を描ける ようになります。

ステップ目的(何を検証するか)フレームワーク具体的なアウトプットの例
Step 1:
提供価値の定義
「誰に、どのような価値を提供できるか」を明確にする。ビジネスモデルキャンバス(BMC)顧客セグメント(例:東京のレストラン)、収益モデル(Web経由のBtoBサブスクリプション)を提案。
Step 2:
事業性の評価
「儲かるのか」を論理的に検証する。売上とコストのシミュレーション初年度30区画、5年で最大100区画といった目標に基づき、黒字化の時期を予測。
Step 3:
顧客体験の設計
使用者視点で「使うか」「買うか」を検証する。カスタマージャーニーマップ(CJM)顧客の不安(例:どの野菜を選べばよいかわからない)を特定し、サービスに必要な機能を具体化。
Step 4:
実現性の検討
洗い出した機能を、テクノロジー視点で実現可能か検証する。システム構成図AWS Greengrassとドローンを連携させ、リアルタイムで畑の情報を収集・分析する構成案等、戦略的な技術選定。
Step 5:
実行計画の策定
不確実性の高いDXプロジェクトを円滑に進める。プロジェクト計画(ロードマップ)要件定義と設計以降で契約を分ける二段階の計画を立案し、アジャイルやPoCを適切に選択。

演習課題例

実際の課題例を用いて、5つのステップを具体的に解説します。

本演習は、既存資産とテクノロジーを組み合わせ、新たな顧客価値を創出する新規サービス系DXの典型的な事例を想定しています。

・ あなたは九州地区で各種野菜を栽培・販売している大規模農業法人(ネクストアグリ社)にコンサルティングをしようとしています。

・ ネクストアグリ社の周辺には多くの遊休農地が存在しているため、それらを買い取ってテクノロジーを活用して新しいビジネスを考えています。

・ 遊休農地の一部を東京等の企業と契約し、栽培を受託、農作物が収穫できたら企業に送るというビジネスモデルです。

・ 料金は一区画あたり月額10万円(配送費込み)とし、初年度で30区画程度、今後5年で最大100区画のサブスクリプションを目標としています。

・ 現地では学生アルバイトを中心に農地の管理を行います。

・ 週1回ドローンで農地を撮影し、契約企業へドローン写真を提供します。

Step 1:提供価値の定義

ステップ1では「ビジネスモデルキャンバス(BMC)」 を用いて提供価値を整理します。ビジネスモデルキャンバスは、 ビジネスモデル(誰に価値を届けて売上を上げるのか、どうやってその価値を作るのか、そのコストは何か)を一覧する ためのフレームワークです。

このフレームワークを活用することで、収益構造、必要なリソース、パートナーといった事業の中核要素を明確にし、 事業者視点での論理的な検証が可能 となります。

以下は実際に演習で作成した例です。

本ステップを通じて、顧客セグメントと収益モデルが明確になります。

Step 2:事業性の評価

ステップ2では、 事業者視点で「収益性が確保できるか」を検証する ため、売上とコストのシミュレーションを行います。

初年度30区画、5年後に最大100区画という目標を前提に、必要な初期投資や黒字化までの見通しを整理し、事業の継続性を客観的に評価します。

例えば、開発費や農産物の生産コストといったコスト構造を明確にすることで、事業計画へと落とし込んでいきます。

Step 3:顧客体験の設計

ステップ3では、収支シミュレーションにより事業性を確認したうえで、 使用者視点から「このサービスを利用したいか」を検証 します。そのために、「 カスタマージャーニーマップ(CJM) 」を作成します。

カスタマージャーニーマップは、ペルソナと呼ばれる想定ユーザーの行動を定義し、各行動時に抱く思考や感情を可視化する手法です。ペルソナの心理状態を整理することで、顧客体験を高めるための検討が可能となります。

演習では、「どの野菜を選べばよいかわからない」「ドローン写真だけでは育成状況が把握しにくく不安」といった顧客の不安や不満が、 ペインポイント として発見されました。これらの課題は、サービスの利便性向上や品質担保に向けた重要なヒントとなり、 優れたUXの設計 へとつながります。

発見されたペインポイント、課題、不安に対して「あるべき機能」を検討し、機能一覧を作成します。例えば、「育成状況が把握しにくい」という課題に対し、「ドローン写真に加えた詳細レポートの提供」という機能案が導き出されました。これは、課題を深掘りした結果、新たに追加された価値となります。

Step 4:実現性の検討

ステップ4では、整理した機能一覧について、 テクノロジーの観点から実現可能性を検討 します。その過程で、 システム構成図 を具体化していきます。

演習では、AWS等のクラウドサービスを活用し、開発・運用負荷を抑えつつ、拡張性を確保する構成案が検討されました。特に、ドローンとAWS Greengrassを連携させ、農地情報をリアルタイムで収集・分析する 戦略的な技術選定 が生まれました。

なお、システム構成図と聞くと、エンジニアでなければ難しいと感じる方もいるかもしれません。しかし、ビジネスアーキテクトに求められるのは、プログラミングスキルではなく、「 実現したい価値に対して適切な技術・サービスを選定する力 」です。

NCDCでは、演習に先立ち、必要な基礎知識を体系的にインプットしています。これにより、エンジニア経験のない方でも、実現したい機能に適した技術要素を選定し、概念レベルでシステム構成を設計できるようになります。

Step 5:実行計画

最後にステップ5では、 不確実性の高いプロジェクトを円滑に進める ための「 ロードマップ 」を策定します。

こちらの例では、要件定義と設計以降で契約を分ける 二段階の計画を立案 しました。まず基本機能を迅速にリリースし、利用状況やフィードバックを踏まえたうえで、IoTやAIといった高度な機能を段階的に追加する、アジャイル型のアプローチを採用しています。

以上、5つのステップを通じて、新規サービス系DXのアイデアを、 提供価値の定義から事業性評価、顧客体験の向上、技術的実現性の検討、実行計画の策定 まで一貫して具体化しました。

本演習は、単なる知識のインプットで終わらせず、実際の課題を用いたグループワークを通じて、 ビジネス構想からプロジェクト推進までを横断的に体験する ことを目的としています。

この一連のプロセスを体系的な育成プログラムとして学ぶことで、受講者は 現場で活用可能な知識とスキル、すなわちDXの実行力を短期間で身に付ける ことが可能です。

NCDCのサービス紹介

NCDCは、お客様が外部に依存することなく、 社会環境や技術の変化に対応し、自ら実装できる力を獲得することを目的とした伴走型支援 を得意としております。コンサルティング、研修、スキル・トランスファーを通じて、ユーザーインサイトやテクノロジーを理解したうえで企画を行うための知識習得を支援しています。

今回ご紹介した「ビジネスアーキテクト育成プログラム」の特徴は以下の通りです。

  • 短期集中で必要な知識をインプット
  • 豊富なショートケース課題と総合演習を通して、 実践的な知識を習得
  • 現役のコンサルタントが講師を務め、eラーニング等では体験しにくい アウトプット中心のアクティブラーニング を実施
  • 1日から3日間まで 柔軟にカスタマイズ可能

例えば3日間のプログラムでは以下のような内容で構成されます。

プログラムには、総合演習を含む複数の実践的なケーススタディが組み込まれており、知識の習得にとどまらず、現場で活用できる実践力を身に付けられる内容となっています。

DXの「実行力」を育む!体験型の人材育成(演習)プログラムとは」にて詳しくご紹介しております。

ご興味がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください

この記事の講師

局 芳暁
NCDCのITコンサルタント。Scrum Inc.認定スクラムマスターであり、NCDCのアジャイル方法論の策定リーダー。アジャイル開発の豊富な経験を武器に、スクラムマスターやアジャイルコーチとして多数のチームビルディングを主導。その知見を活かし、多くの新規サービス開発プロジェクトでPMを務める。

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